皆さんは、地球のような固体惑星の自転について考えたことはありますでしょうか。
ご存知の通り、地球の自転軸は23.4度傾いており、中緯度帯に位置する日本に四季をもたらしています。中国や日本では古来より「二十四節気」という、一年の特定の時期の季節感を表す指標があり、これを執筆している2026年4月20日は「穀雨」にあたります。春の柔らかな雨が百穀を潤す、いわゆる恵みの雨が降り始める時期と言われています。いよいよ農家さんも忙しくなりますね。皆さんが休日を楽しむ春分も、二十四節気の1つで、昼夜の長さがほぼ同じになります。二十四節気をさらに細分化した「七十二候」は、最近はあまり聞きませんが、例えば「玄鳥至」の時期には、渡り鳥であるツバメが空を舞うようになります。
四季は人々の生活や動植物の活動のあり方に影響を与えますが、地球以外の惑星ではどうでしょうか。実は、火星は地球に似た自転を持っており、季節変化が存在します。一方で、水星や金星の自転軸は、軌道面に対してほぼ垂直であるため、季節変化は生じません。地球型惑星にこだわらなければ、天王星のように自転軸が横倒しの惑星も存在します。この場合、夏は極端に昼が長く、冬は極端に夜が長くなります。つまり、極めて差の激しい季節変化となるでしょう。季節変化がない惑星も、逆に極端な惑星もあり、十人十色であると言えそうです。
このように、自転軸の傾きは惑星表面の環境を大きく変化させる要因になりますが、最近の研究では、多くの固体惑星は天王星のような横倒しの自転軸を持つ確率が高いことがわかっています。
地球型惑星は数キロメートルサイズの微惑星などが集まって生まれたと考えられていますが、まずは一部の微惑星が優先的に成長するようです。それらが火星程度の大きさまでになるといったん成長は止まります。太陽系の場合は1億年ほどをかけて、それらがランダムな方向から衝突し合います。10回ほど合体を繰り返すと地球の完成です。自転軸の向きは最後の衝突によって決まりますが、ランダムな方向からの衝突であるため、確率的に向きが決定されました。
公転面に垂直な方向の自転軸の角度は0度と180度の2つの状態しかありませんが、公転面に並行な場合は、面内でどちらを向いていようがすべて90度です。このため、確率的に自転軸の向きを決めると、大抵は90度前後、すなわち横倒しになります。
多くの惑星系において太陽系同様の形成過程があったとすれば、そこにある地球型惑星の多くは、天王星のように横倒しの自転を持ち、差の激しい季節変化を有するでしょう。そのような表層環境で生命がどのように進化するかは想像するしかありませんが、地球とはまるで異なる環境で育った生命との邂逅を、楽しみにしてもいいかもしれません。
2026年4月20日
国立天文台
柴田雄